今回はフォーカスオンフォームの種類と、代表的なタスクを紹介していきたいと思います。

種類に関しては言葉での説明では少しややこしいため、タスクの紹介が中心にあると思います。(フォーカスオンフォームって何?てなった人はこちら

ではまず簡単にフォーカスオンフォームの種類を。

基本的には大きく分けて2種類になります。

事前対策的フォーカスオンフォーム (reactive focus on form)や、反応的フォーカスオンフォーム (proactive Focus on Form)とも呼ばれます。

意味はそのままの意味です。

事前対策的フォーカスオンフォームとは、教師があらかじめ特定の言語項目(文法事項)を使用しないと解決できないようなタスクを準備して、予想されるような間違いに対する対処法を準備した上で行うフォーカスオンフォームです。

一方の反応的フォーカスオンフォームとは、コミュニケーション活動を行っている中で生じた間違いに対して教師が反応し、その誤りに対してのフィードバックを、コミュニケーション活動を遮らないような形で行うフォーカスオンフォームです。

つまりこちらのフォーカスオンフォームでは、教師の力量がめちゃくちゃ重要になってきます。

さらに、Williamsという人はもっと細かくフォーカスオンオンフォームを分けているのですが、今回はタスクの方を中心に取り上げたいので、気になる人は第二言語習得SLA研究と外国語教育(下にリンクを貼っておきます)を読んでみてください。(プレマスター留学日記の最後で初回する予定ですが、このプレマスター留学の際めちゃくちゃお世話になった本の一つです。)

ではタスクの種類を紹介していきましょう。

タスクに関しては、どれだけ教師の指導が生徒に対して明示的に行われるかという介入度、という側面から分類が行われています。(明示的というのは直接的に、「〜が間違っているよ」などの指導をするということです)

介入度の高い方から順に、

インプット洪水、タスク必然性、インプット強化、意味交渉、リキャスト、アウトプット強化、インタラクション強化、ディクトグロス、意識高揚タスク、インプット処理、ガーデンパス、となっています。

ガーデンパスが一番介入度の高いタスクとなります。

では一つずつ簡単に見ていきましょう。

まずインプット洪水とは、その名の通り目標とする言語項目が多く入ったタスクや教材を使い、生徒がその言語項目に触れる機会を増やすような方法です。

タスク必然性も名前の通り、ある言語項目を使用しなければうまく達成できないようなタスクを作ることです。

インプット強化とは、目標言語項目の部分を例えば太字にしたり、イタリック体にしたりすることで視覚的に学習者に目標言語こう奥に注意をもっていくように促す方法です。

意味交渉もその名の通り、わからない部分の意味などを会話を通して尋ねていくことです。

リキャストとは、教師が生徒の間違いを含んだ発言を、その意味を変えずに間違えた部分を訂正した言い直しのことです。

例えば生徒が”*I go to the library yesterday.”と発言した場合、教師は生徒が自ら間違いに気付くように”You went to the library?”などの繰り返しを行うことです。

アウトプット強化とは、教師側が生徒の発言の曖昧な部分をより詳しく説明するように求める明確化要求 (clarificationrequest)などをもちいて、生徒がより話すように促す方法です。(アウトプット=言葉を発することという理解で大丈夫です)

インタラクション強化とは、アウトプット強化と少し似ていますが、アウトプット強化のように教師が詳しく述べることを要求するのではなく、発言の一部を言い換えたりするなどして(暗示的フィードバック)、生徒が自ら発はを修正するように導く方法です。

ディクトグロスとは、教師が短いテクストを読み、生徒はグループやペアで聞き取った内容を話し合いながらどんな話だったかを再生していくタスクです。

意識高揚タスクとは、学習者の注意を特定の文法項目に向けさせ、その文法項目に対する理解を促すことを目的としたタスクのことです。

そのために、グループでの話し合いなどを組み入れている点が一つの特徴になります。

インプット処理は、学習者が目標とする文法項目に注意を払わなければ判断できないような文の内容判断を行わせる指導です。

例えば、”Yesterday, I (go) to Tokyo.”という文章はyesterday さえ聞き取れればgoの時制を気にすることなしに内容を判断できてしまうので、I went to Tokyo.というような文をきかせて、いつの出来事かを判断させたりするのがインプット処理の指導となります。

最後のガーデンパスとは、教師があらかじめ生徒が過度に一般化して間違えるような付くを用意して、間違えさせた後に、正解を示して、正しい使い方を印象付けるような手法です。

例えば、所有格の’sなどで考えると分かりやすいと思います。

はじめに、Tom’s〜、Mika’s〜などを教えた後に、あの山の頂上は?などと尋ねて、The mountain’s topという間違いを引き出した後、物にはof使を使わないといけないよ、と指導するなどです。

今説明したものは第二言語取得と英語科教育法という本に基づいているので、詳しく知りたい方はそちらを読んでみてください。(こちらも僕のお世話になっている本で、下にリンクを貼っておきます)

このように、いろいろなタスクがありますが、現在の研究の結果の一つとして、明示的な指導の方が暗示的な指導法よりも効果的だというものがあります。

つまり、明示的フォーカスオンフォームが一番効果的な指導法であるという結果が出た一方で、暗示的フォーカスオンフォームよりも明示的フォーカスオンフォームの方が効果的であるという研究結果も出ています。

したがって、現在注目を集めているフォーカスオンフォームですが、まだまだ研究が続いているため、今の所一番の教授法だとは断言できません。

文法訳読法がリーディングに対しては今でに効果的な教授法であるように、生徒の学習目標によって、どの教授法が適しているのかも変わってきます。

なので、教師を目指す人たちはいろいろな教授法を知って、それらの特徴を押さえた上で、生徒のニーズにあった教授法を選択できるようにすることが大切だと思います。

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